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写真家が捉えた建築風景
コロナ禍にこのようなトピックを作った理由はいくつかありますが、まず1つ目は今の私個人の、旅に対する憧れの現れなんだろうと思います。
2つ目に建築家に対する尊敬と、最後に写真家に対する尊敬。そういうものを自分の中で融合させたら自然とこんなトピックが浮かんできました。
コロナの時代が収束せず長引く中で、誰にも後ろめたさを生まない旅が一体いつになったら再開できましょうか。
私は旅が好きです。旅でしか味わえない臨場感、あらゆるものとの一期一会、予想外の失敗を含めた経験はいつも自分の糧となるものです。
いつしか旅は自分の生業を支えてくれるような、自己表現そのものになりました。
旅の中で自分の好きなものを自然と自覚して、時間にも心にも余裕ができる頃、旅の途中でモダニズム建築を巡る機会も少しずつ増えてきました。
世界最高の建築に直接足を運び、その場で時間を過ごしたり、住み主や施主のお話の伺い、優れた建築というものがいかに人に感動を与えてくれるか、豊かな時間を生んでくれるか実体験をもって少しずつ分かるようになってきました。
建築を手掛けた建築家の底知れない思考の深み、街や自然などの周囲の環境との親和性、協調性、成長性に対する展望という「時間の軸を持った長期的なヴィジョン」。
優れた建築が生まれる背景には建築家、設計家、そして施主の考えや願いがあり、それらを実現させる現場の職人の技術力があり、こういったものを感じて考え始めると、時に涙が出てくることだってあるものです。
人はアラフォーにもなってくると涙もろいのです。
このトピックでラインナップした15冊は世界最高峰の建築をすべて「写真家」が撮り下ろした内容になっています。(※一部関連財団のアーカイブ写真有り)
写真家が捉える写真は一般的な建築誌に掲載されているような所謂「建築写真」と異なる内容のため、このトピックでは「建築風景」という言葉を使っています。本によっては写真が建築を知るための単なる写真でないものも含まれていまして、この点は予め注意が必要です。
写真家にしか捉えられないものがあり、世界には彼らの力を得て「芸術に達する本」が点在していて、そのような本から私たちは「見えないもの」の存在を考えていける気がしています。
MMSSでは様々な意味で類まれな「美しい本」をシェアしていきたいと思っています。
これらの本に触れたことがきっかけで「いつかこの建築を観に行きたい!」と思って頂けるようなものが1冊でもあれば嬉しいです。
私自身は、ここにある建築は死ぬまでに絶対に足を運びたいと思っています。
2021.01.16 志摩