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線が語るモダニズム
(※こちらのトピック作りはウェブ、プロダクトデザインを手掛ける小玉良行氏に担当頂きました。MMSSでは今後会員さまに限り「私もトピック作りや本選びをやってみたい!」という方を募集して参ります。MMSSで生まれた収益を「100年後に残すべき美しい本の購入代」に充てさせて頂きます。ご興味のある会員さまはこちらよりお気軽にお問い合わせください。)
MMSSのコンセプトが大好きでした。
志摩さんからの依頼を受け、美しいものを追いかける者の一人として、この度この作業に挑戦したいと思いました。
10代のときから美しいものを追い求めてきた自分の眼を信じてみることにしました。
オリジナルのトピック作りを始めるにあたり、現在私が興味のある本を探すことから始めました。
とあるデザイナーの本を読んで文化人類学の本を読んでみたいと思っていて、まずはそうした本を含む10冊以上の本を選びました。
選書したものの中から「ラインズ 線の文化史」という「線」のことを文化人類学的に書いた本が面白く、この本を中心にさらに対象を絞って選書を展開しました。
みなさんは「線」ということに意識を向けたことはありますか?
そして、「線」ということを文化的に研究している人がいることを知っていますか?
私は細い線だとシャープな印象になり、太い線だと大胆な印象になる。そんな程度にしか捉えていませんでした。
世の中には、線を文化的に捉える研究者もいるのだなと興味深くこの本を読み始めました。
あらゆる時代のあらゆる地方の民族の「線」が紹介され、魅力的に伝えられており、読者である私の目の前の世界が変わっていくようでした。
例えば、この本を踏まえてル・コルビュジエの建築を改めて考えてみました。
あくまで個人的な感覚ですが、初期のサヴォア邸は細いシャープな線を想像できます。水平を意識した窓、垂直に伸びる脚部など特徴的でしょう。
後期のロンシャン礼拝堂は太い大胆な線を想像することができると思います。雄大な曲線は、まるで絵画の一部のようであり、貝殻のように有機的なフォルムです。
これはコルビュジエの変化を考える上でとても重要で、ラインズを読むことで、当時のコルビジェにどのような変化が生まれたのか考察を深めることができるようになります。
これも本が持つ不思議な力、本による学びが持つ素晴らしさの一つです。ここにラインナップした6冊はどれも線ということに着目して読んで頂きたいタイトルです。
作り手を理解し、もの(建築であったりも含め)との向き合い方、ものにどのような思いが込められているのか。
ものが溢れている世の中にあって、ものに込められている思いを知ることが、ものを見るという行為に必要なのではないでしょうか。
それには一つ一つの要素を分解して理解し、その文化的背景を知ることが重要です。
みなさんもぜひ、「線」を知ることから始めてみませんか。
2021.4.3 小玉