発刊:1966年

仕様:ハードカバー

内容:フィンランドのデザイン業界において世界的な影響力を持ちデザイナー、彫刻家、そして教育者でもあったティモ・サルパネヴァがアートディレクションを手掛けたもものとして、幻の書籍とも呼べる1冊です。美しいフィンランドの工芸品やデザインプロダクトを集めた内容ですが、写真の抽象度も高く「芸術としてのデザイン」「芸術としての書籍」そのものであろうものです。

ティモ・サルパネヴァの世界観に対し一定の理解がないないと、この本に向き合っても「?」で終わってしまう可能性もあるのが恐い点かもしれません。「芸術としての書籍」「書籍は芸術の代替え品ではなく、芸術そのものという書籍の存在」という概念を理解していくためには膨大な数の本に触れていく必要があるかもしれませんが、そのような「道」に対する興味を深めて頂けるものになれば幸いです。

余談になりますが、本書のカバーに使われているのはティモサルパネヴァ(1926-2006)の詩的世界観、自然風景を芸術として表現したテキスタイルペインティング、染色生地、印刷生地です。その名もAMBIENTE(アンビエンテ/1965〜)。

彼は世界で最も有名なガラスアーティストでありデザイナーですが、ガラス以外にも短い期間のみテキスタイルからスチール磁気や金属に至るまで、他の素材にも取り組んでいました。

サルパネヴァがアートディレクションを手掛けたこの1冊をたまたま手にした時に私は「芸術としての本(Book as Art)」の存在に対する意識を強くしました。言葉は要らなかったです。フィンランドの文化や芸術に詳しい友人にこの本について聞いてみると「この本に使われている生地はアンビエンテというシリーズかもしれない」と教えてくれて、情報を探してみると、興味深いものがわんさかと。。

フィンランドはタンペレという町にあるタンペララピニエミ工場とティモ サルパネヴァのコラボレーションによって生まれたシリーズ「アンビエンテ」の染色法、印刷技術はティモ・サルパネヴァが生地の印刷機をブラシのようにして使い始めた1960年代に生まれました。彼は当時工場と共同で、キャンバスに複数の色を同時に印刷できる技術を開発しました。さらに「予期しない染料の滲み」などランダムな品質が生む味を掛け合わせ、実験と計算により洗練させることに挑戦していたようです。

後の時代のアンディ・ウォーホルにも影響を与えたのでしょうから、やはり全ての歴史はぶつ切りのものではない。ということなのでしょうね。この繋がりを追っていくこと、妄想していくことは楽しいものです。

全122ページ/ボリューム中

往復発送方法:レターパック、クリックポスト

※送料が安くなるため、こちらのタイトルをご利用の月のご利用料金は全国一律2900円(税別)とさせて頂きます。

Previous
Previous

François Halard : LA MAISON DE VERRE(洋書/フランス語)

Next
Next

地上にひとつの場所を : One Place on the Earth(和書/日本語、英語)