根来(和書/日本語)

発刊:2013年

仕様:ソフトカバー

内容:本書は中世の神社や仏寺の什器として、日常的に使用されてきた朱漆器「根来」の優品を集める展覧会として2013年に滋賀県のMIHO MUSEUMで開催された「朱漆『根来』中世に咲いた華」の図録です。

根来は、長年の使用に耐え得る強靭な素(木)地造り、使い易さ、下地造りから黒の中塗り、朱の上塗りに至る堅強な漆の塗法、そして、朱と黒だけの明快な塗り肌が特徴的で、日本のみならず海外でも「NEGORO」として親しまれています。

根来は和歌山県の根来寺で作られたものを言い、その開山は平安時代にも遡ります。京都・東寺の影響を排除しようとした覚鑁(かくばん)上人が保守派から追われ、難を逃れて根来に根来寺の前進である寺を作ったのが始まりとされています。覚鑁とともに根来の地に下った人たちは700人を超えたとされ、根来寺は繁栄していきました。その中で漆器作りが行われ、初期は家内的な集団でしたが、寺側の希望で需要が高まり、その後は整備された工房となっていき、分業制になっていきました。腕のある木地師や塗師が監督となり良質な漆器の生産地となっていきました。その後、豊臣秀吉による根来攻略により一山が廃墟と化してしまいましたが、一部残った根来は江戸時代の文献まで残り珍重されました。

私が注目したいのは、その造形です。本文にもあるように、用の美を意識され、日常的に使うことを目的とされた造形は美しい。朱漆の剥げた隙間から黒漆が覗く風景も美しいものがあります。現代のプロダクトデザインや作家の方にも注目してもらいたい一冊です。

ページ数 436ページ / ボリューム中

往復発送方法:レターパックプラス

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