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モダニストの伝記

そもそもモダニストとは何か、というものの再定義をここで試みたいと思います。

モダニストとはよく近代主義者と訳される言葉です。

しかし時に現代的なものを好む者という意味合いで現代主義者と訳されることもありますが、この使われ方はアート、建築、文学、ファッションなど業界によって異なっているのが現状だと思います。

元々日本では英語のModernity(現代性)という単語とModernism(モダニズム)という単語が混用されていることもこの要因になっているようです。

この◯◯はモダンだね!という言葉は前者の意味合いが含まれていますが、後者は近代主義という限られた種類の思想のことを指しているため、まずはこの2つは別物であるということを認識するところから考えを始めていきたいと思います。

それでは手っ取り早くモダニズムを信仰する者がモダニスト、近代主義者でいいじゃん。

という解釈が一般的なものとされていますが、私は「現代のモダニスト」たちが皆一概に近代の思想やプロダクトを観るだけ、信仰するだけの審美眼の持ち主とは考えていませんで、モダニストの概念もこの数十年で少しずつ変化しているように思います。

彼らは現代のものも追いかけるし、近代のものも追いかけるし、数世紀前のものも追いかける、それが美しいものであればという風に「美しいもの、良いものに新旧はない」という高次の共通認識を持っているのが大きな特徴です。

おそらく、美しいものを「時代性や土地性や民族性を超えるもの」と解釈しているためだと思います。

その意味では彼らは「普遍性追求主義者」と呼べるのではないでしょうか。

モダニストのことを本当は「普遍性追求主義者」と再定義したいところですが、堅苦しい言葉もできるだけ避けたい理由から、MMSSではモダニストのことを「美しいものを追いかける者」という風に拡大解釈、そして再定義したいと思います。

このトピックではペリアン、プルーヴェ、アアルト、クレー、吉村順三、グレイなど過去に生きた「徹底的に美しいものを追いかけた偉人たち=モダニストの伝記」を紹介します。読みものが苦手、という方には好きなモダニスト、尊敬するモダニストの伝記がおすすめです。

MMSSにも現代の「美しいものを追いかける者」たちが集まってきて、小さいながらも面白いコミュニケーションが生まれていけば嬉しく思います。

2020.11.20 志摩