BONJOUR MONSIEUR LE CORBUSIER

こんにちは、スタッフの小玉です。

今回はMMSSの蔵書である「BONJOUR MONSIEUR LE CORBUSIER」をご紹介します。


MMSSは市場に流通しにくい書籍や希少で高額な書籍を毎月定額で借りることができる世界にただ1つの貸本屋です。トピックに分けて一つ一つ文章でご紹介しております。オンライン上の本棚から本を手にとるような体験をぜひお楽しみください。


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「ボンジュール、ル・コルビュジエ」というタイトルにもあるように、この写真集に写るコルビュジエはとてもフランクな顔をしているし、時折笑顔で目線をくれる。写真を撮ったのはロベール・ドアノー。当時から数多くの芸術家のポートレートを手掛けている。この写真集はコルビュジエの素顔を引き出すドアノーのポートレートと、何気なく写っている絵画、什器などのインテリアやコルビュジエの服装など、コルビュジエの美意識の高さを味わうこともできる。いわばカセットのA面B面的なものを読者が勝手に付加できる写真集だ。


第一章では、ル・コルビュジエの建築スタジオ35 Rue de Sèvresをテーマに撮られている。ある写真では、縦に長い部屋、机が横に5台ほど並べられ、ライトは全てGras。天井まで伸びる窓が6つあり、リネンで光を遮っている。スタジオの中は紙が散乱していて、シャツの上にタイトなグレーのニットを着た男性が壁に何か描いている。この時代、フランス人のシャツの襟は少し大きめのようだ。一方のコルビュジエは、ダブルブレストのスーツに蝶ネクタイ、美しくチーフを胸に挿している。「ザ・ル・コルビュジエ」というスタイル。その後、デスクに戻り作業をするコルビュジエが写っている。椅子はThonet 209だ。


第二章では、ル・コルビュジエのアトリエ兼自宅に移っている。
着古されたレザーのダブルブレストのジャケット、蝶ネクタイ、太畝のパンツを履いている。この章前半では外羽根の革靴だったが、章後半では暖かそうなサボを履いていた。自宅外の写真もあったが、雪深くとても寒そうだ。犬(テリア)と写るショットも何枚かあり、愛犬家であることが窺える。自宅のリビングではThonet 209と210を併用していることがわかる。彫刻や絵画がバランスよく置かれるが、多国籍な感じは全くない。フランス人がフランス人のために完璧に造作したモダンインテリアという感じ。(コルビュジエはスイス生まれではあるが、、、)


と、ここまでいわゆるB面をスケッチのように記してきたが、この写真集を何回か見ているとコルビュジエが生き生きとカメラに向かって語りかけていることが分かる。笑顔でカメラを向けられているのに緊張感がなく、普段のコルビュジエが映像で再生されるようだ。コルビュジエを見ているのに、カメラを持つドアノーのフランクさも見ているような・・・。どうしてもコルビュジエを主人公にページを進めてしまいがちだし実際そうなのだが、被写体を通して自分を力強く表現するドアノーの表現力というものも魅力の1つであることを感じ取れる1冊だった。


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