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透明壁とその融解(自分と他者、外と内、過去と未来、自然と人工…)
(※こちらのトピック作りは長野県を拠点に物や社会の持続可能性にフォーカスし活動するお店「Ph.D.(フッド)」の代表荒井氏にご担当頂きました。Ph.D.はヴィンテージアアルトの家具を中心に展開されている国内屈指の店舗であり、世界でここにしかないアップサイクルプロジェクトではアーティストと共同で制作されるオリジナルテキスタイルを使った作品を生み出しているデザインスタジオです。MMSSでは今後会員さまに限り「私もトピック作りや本選びをやってみたい!」という方を募集して参ります。MMSSで生まれた収益は「100年後に残すべき美しい本の購入代」などに充てさせて頂きます。ご興味のある会員さまはこちらよりお気軽にお問い合わせください。)
「透明壁とその融解」というトピックのイメージソースは、このコロナ禍において至るところで見かけるようになった「アクリルの飛沫防止パネル」でした。
透明な壁はそこにあるものの見えない事も多かったり逆にそれを意識すると対立や隔離を誘発します。
その飛沫防止パネルからイメージを膨らませて価値観を共有した時にできる、それぞれの世界を行き来するような精神的な体験を目指したトピックとしました。
例えばそれは自然と人工
ジョージア・オキーフはその生活や出で立ちから彼女本来の美しさが作品としての説得力を増しているような印象があります。
自然との関わり方は自身がそれに一体化しているように平然と体現している様は凄みさえも感じます。
彼女の自然界を抽象化したような作品(人工物)はそんなライフスタイルを投影した大きな自然の入り口のように感じる事ができそうです。
そして本著書もそんな空気が大いに伝わってくる吸い込まれそうな美しさを放っています。
Georgia O'Keeffe: The Artist's Landscape(洋書/英語)
労働者と資本家
農耕が始まった段階で人同士の管理、階級構造が始まったと言われていますが、それを超越し
た美しさやそれを共有する価値観というのが存在すると信じています。
またそれは実労でしか得られない概念や価値観であると思いますし、そんな概念を垣間見れる本書はそんな人間が勝手に作った強大な透明壁を容易に溶かしてくれるのではと思います。
そんな風に過去や未来、被写体と自身など様々な概念を行き来することができそうな著書です。
LA FRANCE TRAVAILLE : FRANÇOIS KILLAR(洋書/フランス語)
過去と未来
写真は時間と空間を切り取るという意味で本書はタイムマシーンのような不思議な体験ができる設計になっていそうです。
まるで生活感のないルイ・カレ邸と無表情な女性とのコントラストは過去や未来を同時にイメージさせます。
またルイ・カレ邸の自然な採光を惜しみなく切り取ることでそんな空想の世界のイメージが掻き立てられるようです。
elina brotherus : Les Femmes de la Maison Carré(洋書/フィンランド語)
内と外
建築において内と外の境をいかに設けるかが肝となると思っているのですが、チャンディーガールのダイナミックな建築群は都市計画としての美しさもさることながら公共施設などの建築単体としてのダイナミックな美しさは内と外、プライベートと公共の境を緻密なアプローチで設計し、ある部分においては境界がグラデーションのように交わっていく構造が取られているようです。
本著はそんな被写体の美しい構造の写真により自分があたかもそこにいるような臨場感にあふれています。
CHANDIGARH : LE CORBUSIER IN INDIA(洋書/英語、イタリア語)
そして、海外と国内
日本では、絵本作家として有名なレオレオーニ。スイミーなど日本での著名な作品は一度は見たことがあるのではないでしょうか?
そんな彼の日本語訳としての口語的な対話はとても興味深く、また松岡正剛との対話によりデザイナーとしての彼の様々な概念が垣間見れる節はとても親近感がわいてきます。
時代や国様々な違いがあれどそれを超越できうる概念があると実感できる本著です。
間の本 イメージの午後(和書/日本語)
新たな価値観や体験に触れることを促すことができればとても嬉しいです。
今では当たり前になった飛沫防止パネルですが、このトピックに「融解」という表現を組み込む事で、コロナ後においてはこれらを撤去できる未来があるののだという希望も込めました。
2021.11.04 荒井 健次/Ph.D.(フッド)代表
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Ph.D.(フッド)とは
長野県東御市に2016年に設立した物や社会の持続可能性にフォーカスしたデザインスタジオです。 自然豊かな地で世代、国境を超える生活の道具の販売と修理、張替えを主軸に、今の時代に適した創造の仕組みやアイデアを発信しています。 ヨーロッパを中心に世界各国より選りすぐりのヴィンテージ家具を提供しております。 長年の経験で培われた技術力による修理や張り替を全て一貫して行う事により様々なニーズに応える事が可能です。 またリース、コーディネート等実際にお使い頂く場に合わせて様々なサービスのご提案が可能です。 各種お持ち込みでの修理、張替え依頼、代行輸入も随時承っています。
2020年には長野市に独自の感性が漂うビンテージ家具の倉庫「Ph.D.stock hue」オープン。
同年にはカフェ「North South East West」とアウトドアショップ「NATURAL ANCHORS」と共に運営するイベントスペース兼ギャラリー「Lighthouse」をオープン。様々なクリエイティブなサービスを提供するとともに様々なクリエーターが集うオープンアトリエ、ギャラリー、イベントスペースとしても機能しています。
アップサイクルプロジェクト「oops」の展開
荒井氏はテキスタイルデザイナー氷室友里氏を始め様々なクリエーターとコラボレーションによるものづくりで「ごみという概念をなくす」環境負荷に配慮した新しい取り組みを行っています。 このプロジェクトでは端切れを素材にパッチワークにて張替えを施したビンテージ家具を作品として発表するとともに特異性に長けたデコレーションや作品作りなど様々なアイデアを具現化、提案しています。 各種OEM、お持ち込みのデザインによる造形物の製作も承っています。
Ph.d. 公式サイト : https://www.ph-d.jp/
Ph.d. インスタグラムアカウント : https://www.instagram.com/ph.d.______/